考察

可能性を表にしてみる

最初は12枚の金貨のどれが偽物かまったくわからない。

の、計24通りの可能性がある。 この状態を次のような表であらわすことにする。

ABCDEF GHIJKL
軽い
重い

もちろん真実は一つだけだ。たとえば、最後に「Cが偽物で、本物より重い」と わかったとしよう。この状態は次のようにあらわせる。

ABCDEF GHIJKL
軽い
重い

第1回の比較について考える

第1回の比較ではABCDとEFGHを皿にのせる。 比較のの状態を次のようにあらわそう。 これは最初の表を分割しただけである。

ABCD EFGH IJKL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

左の皿が下がったとする。何がわかるだろうか。

まず、IJKLは本物である。傾いたのだからABCDかEFGHの中に偽物があるはずだ。 つぎに、もし偽物が左の皿にあるのなら—ABCDのどれかなら—それは本物より 重いはずだ。逆にEFGHのどれかが偽物なら本物より軽いはずだ。 比較のの状態は次のようになる。

ABCD EFGH IJKL
軽い
重い     … (1)
左の皿 x 右の皿     残り

同様に考えて、右が下がっていたら次のようになる。

ABCD EFGH IJKL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

水平の(つりあった)ときには、偽物は残ったIJKLの中にあることになる。 しかし天秤にのせていないので重い軽いについては何もわからない。 この状態は次のようにあらわせる。

ABCD EFGH IJKL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

第2回の比較について考える

第1回の比較では左が下がったことにする—(1)の続きだ。 前ページで紹介した手順によれば、次はABCEとDIJKとの比較だ。 のせる皿にあわせて表の列をいれかえておこう。

ABCE DIJK FGHL
軽い
重い     … (1')
左の皿 x 右の皿     残り

ここではまた左が下がったとする。

傾いたのだからFGHは本物だ。A〜Eの中に偽物がある。 また、Eは偽物だとすれば本物より軽い可能性しかないから(1'参照)、 Eが偽物なら左の皿は上がらなくてはならない。したがってEは本物である。 同様の考察によりDも本物であるとわかる。

ABCE DIJK FGHL
軽い     … (2)
重い
左の皿 x 右の皿     残り

同様に、右が傾いたときには

ABCE DIJK FGHL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

水平だったときは

ABCE DIJK FGHL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

となる。

第3回の比較について考える

ここまできたらあとは簡単だ。(2)の続きを考えてみよう。 手順にしたがってAとBを比較する。

AB CDEFG HIJKL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

偽物が重いことはわかっているから、下がった方が偽物だ。 つりあったならAもBも偽物である可能性は消え、 真実はこのページのはじめの例のとおり「Cが偽物で、重い」だったと いうことになる。

AB CDEFG HIJKL
軽い
重い
左の皿 x 右の皿     残り

ここまでのまとめ

表を作れば、それぞれのコインにどんな可能性が残っているのか・手順が どのように可能性を絞ってゆくのかをはっきりみることができる。 最初はコインの枚数の2倍の可能性がある。 この可能性を減らしてゆき、1つになったら偽物のコインを判定できたといえる。

天秤の比較は3とおりの結果(右・左・水平)がありうる。 一回の比較で可能性を最大3つのグループに分割し、 その中から真実の含まれている1グループをとりだすことができる。

軽い 右が下がった 左が下がった 水平だった
重い 左が下がった 右が下がった 水平だった
左の皿 x 右の皿   残り

手順ではこれを繰り返すことで可能性を減らしてゆく。天秤を使う回数は 可能性のグループ分けの仕方によって決まるといえるだろう。

途中の可能性の状態にはさまざまなパターンがあるが、 あらゆるパターンが出現するわけではなさそうだ。 各パターンについて次の比較を具体的に指示できる方針をたてることが できたなら問題は解けたことになる。そこで今後は可能性のうまい グループ分けのしかたを考えてゆく。

あとでわかるように、じつは12枚の手順にはすべてのパターンとそれに対する方針が 登場している。